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生産性は、誰のための指標なのか

日本の労働生産性はOECDで下位が続いています。ただ、議論されているのは分母ばかりです。

連載 数字は、実態を映していない 第4話/全5話
労働生産性が付加価値を投入時間で割った値であり、議論が分母に偏っていることを示した図
目次
  1. まず、数字を確認します
  2. 生産性は、割り算です
  3. 分子が増えない理由は、前回の話に繋がります
  4. ALTEVOはこう考えています
  5. 反証:国際比較で自社を判断できません
  6. 次回

前回、価格を上げられない構造を書きました。上げられないなら、同じ時間でより多くを生み出すしかない。そこで生産性の話になります。

まず、数字を確認します

日本生産性本部の調査によると、2024年の日本の時間当たり労働生産性は60.1ドル(5,720円)で、OECD加盟38カ国中28位でした。一人当たり労働生産性は98,344ドルで、29位です(2025年12月発表)。

この順位は長く下位で推移しており、日本の課題として繰り返し指摘されてきました。

ただ、この数字が何を測っているかは、あまり語られません。

生産性は、割り算です

労働生産性は、付加価値を投入時間で割った値です。

生産性は割り算であり、議論は分母に偏っている

数字を良くする方法は2つしかありません。分母を減らすか、分子を増やすかです。

日本で行われてきた議論の大半は、分母の話です。残業を減らす、会議を短くする、無駄を省く、自動化する。どれも正しく、実際に成果も出ています。

一方で、分子の議論はあまり見かけません。

分子が増えない理由は、前回の話に繋がります

付加価値は、ざっくり言えば売上から外部購入費を引いたものです。つまり、価格に反映できなければ、付加価値は増えません。

同じ品質の仕事をして、同じ時間を使っていても、その仕事が安く売られていれば、生産性の数字は低く出ます。

つまり、生産性が低いという指摘の一部は、働き方の問題ではなく、値付けの問題である可能性があります。

丁寧な仕事をしても、それが価格に乗らない。乗らないから付加価値が増えない。増えないから生産性が低く出る。そして「生産性が低いから、もっと効率化しよう」という結論になり、分母だけがさらに削られます。

ALTEVOはこう考えています

分母を削る施策には上限があります。時間はゼロ以下にならないからです。一方、分子には上限がありません。

だから私たちは、分子を見ることを設計対象にしています。

どの仕事が、どれだけの粗利を生んだか
どの顧客が、どの案件で、どの価格だったか
★ 同じ工数の仕事で、粗利が2倍違う案件はどれか

3つ目が要点です。多くの会社で、この比較ができません。案件ごとの工数と粗利が別の場所にあるからです。片方は勤怠に、片方は会計にある。

並べられれば、どの仕事を増やすべきかが見えます。効率を上げる前に、何をやるかを決め直す。順序としては、そちらが先だと考えています。

ただし、これは仮説です。

反証:国際比較で自社を判断できません

注意点をいくつか書きます。

国際比較の数字は、為替と産業構造の影響を大きく受けます。円安が進めばドル建ての数字は下がりますが、国内で行われている仕事の中身は変わりません。順位の変動を、そのまま現場の劣化として読むことはできません。

産業構造の違いも効きます。サービス業の比率が高い国は、製造業中心の国より数字が低く出やすい。国の順位は、その国の産業の構成を反映しています。

そして最も重要な点として、国の数字から自社を判断できません。同じ業種でも企業ごとの差は大きく、国の平均は自社の状態を何も語りません。

この記事で国の数字を挙げたのは、議論の出発点としてです。自社の生産性を見るなら、案件ごとの粗利と工数を並べるところからになります。

もう1つ。分子を増やす施策にも副作用があります。高粗利の案件だけを選ぶと、顧客の幅が狭くなり、景気の変動に弱くなります。粗利率だけで案件を選別すると、数年後に取引先の数が足りなくなることがあります。

次回

ここまでは、自社の内側で動かせる話でした。最後に、自社の都合とは無関係に降ってくるものを扱います。

制度は、自社の準備が整っているかどうかに関係なく変わります。そのたびに、対応の費用と工数が発生します。

次回は、そこを扱います。外から降ってくる変更に、どう備えるのか。

次回

次回は「制度対応の集中」を扱います。外から降ってくる変更に、どう備えるのか。

この課題に、ALTEVO は2つの形で向き合っています。

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