出ないという判断は、いつ下されたのか
国内市場は縮小しています。それでも海外を考えない状態は、判断された結果でしょうか。
目次
前回、技術と事業価値の間に翻訳の工程が抜けている、という話を書きました。その状態のまま、国内市場は縮小していきます。
「海外は、うちには関係ない」
少子化によって国内市場が縮小することは、ほぼ確実な前提として共有されています。それでも、海外展開を検討していない中小企業が大多数だ、と指摘されてきました。
理由としてよく挙がるのは3つです。
言語の壁
リスクを避ける姿勢
海外の法務・税務の知識がない
どれも事実だと思います。ただ、これらは「なぜ出ないか」の説明であって、「いつ出ないと決めたか」の説明ではありません。
検討していないことと、検討して見送ったことは違います

状態A 検討した結果、見送った ★ 判断がある
状態B ★ 検討する機会が、一度もなかった
Aであれば、前提が変われば再検討できます。為替が動いた、現地の規制が変わった、取引先が海外に出た。見送った理由が記録されていれば、その理由が消えたときに気づけます。
Bでは、再検討の機会も来ません。議題に上がったことがないものは、議題から外れたことにも気づけないからです。
この連載で繰り返し出てきた構造と同じです。決めた覚えのない状態は、見直す対象になりません。
「三重苦」は、順序の問題かもしれません
言語、リスク回避、法務税務の知識。この3つは、同時に解決する必要がありません。
検討の段階 ★ 3つとも不要。市場があるかどうかだけ
試す段階 翻訳と、最小限の契約確認
本格展開 ★ ここで初めて、3つ全部が必要になる
多くの場合、本格展開の要件を検討の段階に持ち込んでいます。全部そろえてから考えようとすると、そろわないので考えないまま終わります。
本来、検討に必要なのは「自社の製品を買う相手が、国外にいるか」だけです。
ALTEVOはこう考えています
海外に出るべきだ、とは考えていません。
出るかどうかは事業の判断で、外から勧める性質のものではありません。私たちが扱えるのは、その判断ができる状態にあるかどうかです。
いまの顧客は、どの地域にいるか
その地域の市場規模は、今後どう動くか
★ 同じ製品を、国外で買う相手は存在するか
★ 過去に検討したことはあるか。あるなら、なぜ見送ったか
4つ目が要点です。見送った記録があれば、判断になります。なければ、ただ検討していないだけです。
企業搭載型BIで扱おうとしているのは、この種の「決めていないこと」を見えるようにすることです。決定の記録だけを残すと、決めなかったことは永久に見えません。
ただし、これは仮説です。
反証:出ないことが正しい場合は、普通にあります
限界をはっきり書きます。国内だけで事業が成立するなら、出る必要はありません。
地域に根ざした事業、国内の制度に依存する事業、物流コストが効く事業。これらは、国外に出ると構造が壊れます。
そして、海外展開には失敗の事例が多数あります。現地の商習慣、代金回収、品質基準、撤退の難しさ。縮小する市場に残るリスクと、慣れない市場に出るリスクは、どちらが大きいか一概には言えません。
もう1つ。「検討の記録を残しましょう」と言うのは簡単ですが、検討には時間がかかります。日々の業務で手一杯の組織に、使うかどうか分からない検討を求めるのは、負担の押し付けになり得ます。
この記事が言えるのは、「出ないと決めたのか、決めていないだけなのか」を区別しておくと、後から効く、ということだけです。
次回
この連載の最後に、最初の問いに戻ります。
良いものを作っている会社ほど、発信では不利になる。その構造は、どこから来ているのか。
次回は、そこを扱います。本物を作る会社は、何を発信すべきか。
この課題に、ALTEVO は2つの形で向き合っています。